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きもの・帯の文様 鳥と虫の文様

鳥と虫の文様
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いにしえの人々は、空を飛ぶ鳥にさまざまな心を託し、また、小さくても強い印象を残す虫を愛して、文様にしました。気品ある躍動感が魅力です。

千鳥文[ちどりもん]

百人一首に「淡路島かよう千鳥の鳴く声に幾夜寝ざめぬ須磨の関守」(源兼昌)という歌がありますが、千鳥は「恋しい人のもとに飛んでゆきたい」という思いを託す鳥でもあったようです。“波に千鳥”の文様は昔から、数多く見られます。

鶴文[つるもん]

「鶴は千年」という言葉にもある通り、大変な長寿の鳥だと信じられてきたのは、その飛翔する姿の美しさが、羽が生えて天に昇る仙人を思わせるからでしょうか。花嫁衣裳の白無垢の地紋にもよく使われる文様です。

鳳凰文[ほうおうもん]

古くから中国で麒麟(きりん)・亀・竜とともに四瑞とされた、想像上の鳥です。聖徳の天子の兆として現れると伝えられ、何千年にもわたる、平和と繁栄を求める人々の願いがこめられた鳥ともいえましょう。祝儀のきものや帯に多く使われます。

蛍文[ほたるもん]

『源氏物語』に、夏、光源氏が夕暮れのうちに蛍を集めさせ、夜になって、玉鬘(たまかずら)という美しい姫君のそばでいっせいに放して、姫君の顔や姿が一瞬、ほの見えるように演出するという場面があります。夏のロマンスのイメージもある虫です。

蝶文[ちょうもん]

可憐な印象が強い蝶ですが、歌舞伎の「寿曾我対面」での、武勇にすぐれた曾我五郎の長裃の文様は通例、蝶とされています。実は『曾我物語』の、かたき討ちの場面での五郎の装いは「蝶の直垂」とあり“蝶が舞うように戦う”というイメージも…。