ここでは、代表的な7種類のきものを格や用途を目安として紹介。
紋の種類や数、きものの柄や合わせる帯、小物などによっては例外もあります。
染めのきもの・織りのきもの
染めのきもの(後染め)
布を織り上げてから染色したきもののことで、振袖、留袖、訪問着、付け下げ、色無地、小紋などがこれにあたります。また、染める前の白い生地のことを白生地といい、縮緬、綸子、羽二重などがあり、白紬もあります。
織りのきもの(先染め)
生糸を染色してから織り上げたきもののことで、紬(結城紬など)、絣(大島紬など)、御召(本塩沢・西陣御召など)や上布(越後上布など)もあります。
きものの種類と格式区分
きものの種類はその格によって下記の表のように区分されます。
礼装(第一礼装) | ・黒紋付 ・振袖 ・黒留袖 ・色留袖 |
人間の一生の中の通過儀礼としての用途 成人式・結婚式・園遊会・葬式 など |
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略礼装(第二礼装) | 染め | ・訪問着 ・付け下げ ・紋付色無地 |
結婚式・披露宴・結納・パーティ・入学式・卒業式・ お茶会・お宮参りなど晴れやかな場所での礼装着 |
おしゃれ着(外出着) | ・色無地 ・小紋 ・御召 ・紬 |
普段着、街着としての用途 お稽古着(お花、お茶など)、外出着(観劇、旅行など) |
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織り |
黒紋付[くろもんつき]
日本の心を表現する「最高の礼装」黒紋付。染めのきもので、未既婚を問わず使用できる最高礼装です。
慶事には、華やかで格式の高い袋帯と合わせ、お祝いの気持ちを込めて。弔事には、黒の名古屋帯(黒共帯)で喪の意を表します。
背中の紋(背紋)はご先祖様を、胸の紋(抱き紋)は両親を、両袖の紋(袖紋)は兄弟や親戚を表しています。
黒一色の無地に五つ紋(背、両胸、両袖)を入れた黒紋付は、最も格が高い装いで、帯によって慶弔どちらにも着用することができます。
留袖[とめそで]
留袖は最も格の高い染めのきもの。紋の数で用途が変わります。
人生の中の通過儀礼としての用途に(結婚式など)使用する、第一礼装(礼装)で、帯は喜びが重なるという意味から「袋帯」を結びます。
[黒留袖]既婚女性の祝儀用で、五つ紋が入っている。
[色留袖]紋付き、裾模様が特徴。既未婚を問わず着ることができる。
本来は白羽二重のきもの(下着)を重ねて着るもの。
最近では、比翼仕立て(衿や裾、袖を二枚重ねて着ているように見える仕立て)が一般的です。
訪問着[ほうもんぎ]
ひと続きの華やかな絵羽模様が特徴の訪問着は、晴れやかな場所でのおよばれに使用する、第二礼装(略礼装)です。
袋帯を結ぶ染めの着物です。※紬地もあります。
白生地を仮仕立てしたものに絵をつけており、肩から胸、袖を通り裾までひと続きになった絵羽模様が特徴です。
付け下げ[つけさげ]
付け下げは柄がすべて上向きになっている染めのきものです。
訪問着と同格の第二礼装(略礼装)で晴れやかな場所のおよばれに着られます。
帯は袋帯を合わせます。反物のまま柄がすべて上向きになるように染めるのが特徴です。
色無地[いろむじ]
一色無地の染めのきもので、紋をつければ第二礼装(略礼装)として、なければおしゃれ着(外出用)として使用します。
紋があれば袋帯を、なければ名古屋帯も結べます。
紋をつければ訪問着とほぼ同格で組み合わせることができ、帯や小物によって、明るめの色のものは慶事、暗めは弔事用になります。
小紋[こもん]
おしゃれ着の代表格の小紋は、しゃれ着(外出着)として、普段着、街着に使用する染めの着物です。
袋帯(柄や素材による)、名古屋帯、半幅帯を合わせます。
気軽なおしゃれ着として多彩な着こなしが楽しめます。
江戸小紋などは、格が高いとされる。
紬[つむぎ]
紬はしっかりとした質感のある、織りのきものです。通が好む魅力が豊富で、しゃれ着(外出着)、普段着、街着に。
袋帯(柄や素材による)、名古屋帯、半幅帯を合わせます。
素朴で温かみのある生地というだけでなく、高価な結城紬や大島紬などもあり、奥が深いきものです。